「人生100年時代」を迎え、定年延長などの議論も盛んに行われています。7月21日(日曜日)の毎日新聞に、勤労者が長く、自分らしく人生を過ごすための休暇制度に関する記事が掲載されていました。
勤労者が仕事を長く続けるには、労働意欲の維持や自身のスキルアップが大切ですが、それらを後押しする方策の一つとして、「サバティカル休暇」というものがあるそうです。
サバティカル(sabbatical)は、旧約聖書に登場する「安息日」の意味のラテン語に由来し、「長期休暇」や「研修休暇」などと訳されます。1880年にアメリカのハーバード大学で始まった研究のための有給休暇が起源とされており、1990年代に離職対策としてヨーロッパの企業で広まりました。目的を限定しない1か月以上の長期休暇を指して呼ぶことが多いようです。
サバティカル休暇を利用することで、例えば、長期勤続者が職務を一定期間離れて、これまでやりたかった勉強に打ち込むなど、学び直しができます。
IT企業のヤフーでは、2013年11月にサバティカル休暇を導入し、昨年末までに158人が取得したそうです。同社では、勤続10年以上の社員が在職中に1度、3か月まで取得でき、休暇中は給与1か月分の支援金がもらえるそうです。
また、医療システム開発を手掛けるファインデックスは昨年5月にサバティカル休暇を制度化しました。勤続10年ごとに最長で半年間取得でき、休暇中は基本給の3割が支給されるそうです。休暇中には、ライバル企業での勤務など同じ業種はダメですが、それ以外であれば副業も認めています。
現時点では、日本でサバティカル休暇を導入した事例はごく僅かです。それ以前に普段の有給休暇すら十分に取得されていない現状があります。厚生労働省の調査によると、2017年における有給休暇の取得率は51パーセントにとどまり、ある旅行サイトによる世界19の国や地域との比較では、日本は2018年まで3年連続の最下位です。専門家は、「まずは有給休暇の確実な取得から始めるのが現実的である」と指摘しています。
中小企業などにおいては、人手不足や休暇に伴う人件費の負担などの課題もあり、一足飛びにサバティカル休暇のような長期休暇を導入することは難しい面もあると思います。
働き方改革が叫ばれる昨今、まずは有給休暇や夏季休暇をしっかり取得できる社会風土をつくることが重要だと改めて感じました。