私は現在、全国知事会の東日本大震災復興協力本部長を仰せつかっています。この本部組織は、その名が示すとおり平成23年3月11日に発生した東日本大震災からの復興支援のために全国知事会に設置されたものです。

岩手、宮城、福島の3県をはじめとする被災地は、未曽有の被害をもたらした大震災から約5年5か月が経過した現在でも、震災でずたずたになった公共インフラの復旧、あるいは住居の移転等、様々な課題を抱えています。

実は、太平洋沿岸の被災地は、市街地が徐々に拡大してできた町並みではなく、海岸線に沿って自然発生的にでき上がったものです。首都圏あるいは関西圏のように都市開発で市街地が広がってできたわけではありません。したがって、被災市町村には、実務経験や技術を持った人材が極めて不足しています。そのため、毎年のように被災県を除く各都道府県が、全国知事会を通じて600人前後の職員を岩手、宮城、福島の3県に派遣しています。派遣された職員は、1年から3年の期間、現地において復興業務を行っています。

また、被災3県からの切実な訴えを全国知事会で提言に取りまとめ、復興大臣のところに年2回ほど伺って、様々な要望活動をするのが、東日本大震災復興協力本部長としての私の仕事になっています。去る8月16日(火曜日)にも就任したばかりの今村雅弘(いまむら まさひろ)新復興大臣に、7月の全国知事会で取りまとめた「東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言」を提出し、直接説明をしてきました。

今村大臣には、1点目、東京電力福島第一原子力発電所事故の早期収束のために、東京電力任せではなく国主導で早期に解決すること。2点目、被災地への人的支援は、全国知事会や全国市長会等に依存している部分が多く、国では100人未満と極めて少ない派遣状況にあることから、国としてももっと増員すべきである、というようなことを申し上げてきました。

また、3点目として、まだ約15万人もの方々が仮設住宅などで避難生活を送っておられることから、住宅再建や鉄道の早期復旧等に対し、国として徹底した復興支援を継続するよう要請したところです。

今村大臣は衆議院の東日本大震災復興特別委員会の前委員長でもあり、基本的な状況については理解しておられますので、私の説明に対して力強い反応があったように思いました。これからも、今村大臣を通じて国への要請を続けていきたいと思っています。