8月17日(水曜日)から18日(木曜日)にかけて、東日本大震災で被災した福島県と宮城県を訪問してきました。福島県訪問の前日に、今村雅弘(いまむら まさひろ)復興大臣に対して復興支援の要請活動を行ったばかりでしたので、まずは福島県庁を訪ね、内堀雅雄(うちぼり まさお)知事に要請内容を報告しました。その後、福島県庁並びに県庁周辺で復興支援業務に従事している本県からの派遣技術者13名と意見交換をし、引き続き福島県のために頑張っていただくよう激励してきました。その後、福島県が環境の回復・創造に向けて、(1)モニタリング、(2)調査研究、(3)情報収集・発信、(4)教育・研修・交流を行う総合的な拠点として、7月21日(木曜日)にオープンをしたばかりの「福島県環境創造センター」(福島県田村郡三春町)に足を運びました。

このセンターは、福島県と国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、そして国立環境研究所の3者が原発被害を受けた環境の回復・創造に向けて、有機的に取り組む機関として設置されたものです。非常に優れた研究施設であり、交流施設でもありますので、福島県では県内全ての小学5年生が見学に来ることになっているそうです。埼玉県でも、何年生がいいかは別にしても、こうした所に社会科見学に行くのは意味があるのではないかと思います。

その後、旧騎西高校を避難拠点としていたことなどから本県と深い関わりのある双葉町の復興状況をつぶさに視察してまいりました。双葉町は被災地として最もつらい状況にある自治体の一つですが、伊澤史朗(いざわ しろう)双葉町長をはじめとする関係者の皆さんに御案内いただきながら、まず双葉町より南にある楢葉町の避難指示解除区域の中に設置された住民の健康を守る「ふたば復興診療所(愛称、ふたばリカーレ)」や復興拠点整備予定地の様子を視察しました。次に、双葉町においては中間貯蔵施設予定地や住民のいなくなった双葉町の中心地域の状況を視察し、加えて双葉町役場の屋上に昇り、地震・津波被害の状況や復興の取組などの全体を通した説明をいただきました。

現在、汚染土壌の表土を除去したものを双葉町や大熊町に一時的に保管していますが、最終処分の予定が立っておりません。ただ、大変な分量でありますので、もし汚染物質だけを除去する方法があれば、例えばドラム缶1本分の土が1ミリ四方に集約できるかもしれません。そうすれば双葉町や大熊町のように広い空間は必要ないわけですから、最終処分の道も開ける可能性が高まります。

今、除染技術についても相当な研究開発がなされております。偶然、本県の産業技術総合センターとナノカーボンプロジェクト推進のための協定を結んでいる東京大学政策ビジョン研究センターの坂田一郎(さかた いちろう)教授の研究室が、そうした研究開発も進めていますので、これが実現すれば、二重の意味で双葉町に貢献できるのかなと不思議な縁を感じたところです。