大宮の蛍に関する記事が7月12日(金曜日)の読売新聞に掲載されていましたので、紹介させていただきます。

皆さんも御存じのさいたま市大宮区にある武蔵一宮氷川神社は、全国に約280ある氷川神社の総本社です。かつては近くを流れる見沼代用水や境内の池にゲンジボタルが飛び交い、「見沼蛍」と呼ばれて親しまれていました。
見沼蛍は、1893年から1940年頃には、明治、大正、昭和の天皇、皇后や宮家へ毎年3千匹から2万匹が献上されていました。1941年6月の読売新聞には、見沼蛍が西の「宇治川蛍」と並んでともに日本一と称されたことが掲載されています。

しかし、戦後の急激な宅地開発や農薬散布による水質の悪化、さらに蛍が苦手とする照明の増加により、ついに姿を消してしまいました。

「日本一の蛍を復活させよう」と氷川神社が呼び掛けたところ、有志や地元住民らが「氷川ほたるの会」を2014年に発足させ、境内の池周辺の清掃活動や蛍とその餌になるカワニナの育成をしてきました。

2016年には、池の「かい掘り」を行いましたが、池底に1メートル以上溜まった泥をかき出すことができませんでした。そこで2018年9月には、テレビ番組「池の水ぜんぶ抜く」に依頼して大規模なかい掘りを行い、アカミミガメや外来種のコイなどを除去することができました。池底の泥は、神社の取組に賛同した専門会社が引き受け、翌2019年6月21日までに撤去が完了しました。

また、敷地内に放した蛍の鑑賞会も2015年から毎年開催されています。今年は5月から6月の2日間に越谷市などのゲンジボタル950匹を放ち、鑑賞に訪れた約7千人が淡く瞬く幻想的な光に見とれました。

今後は、専門家の意見を聞きながら、蛍が自生できる環境を整えていくそうです。湧き水を引いた池を境内に新たに造り、蛍の幼虫と餌になるカワニナを育てており、近い将来には「氷川神社」生まれの蛍が見られそうです。

日本人の心の原風景でもある蛍、それも日本一と呼ばれた蛍を復活させようと取り組む神社や地域の方の熱意は大変すばらしいものです。大宮の「日本一の蛍」の復活を心から応援します。