6月12日(日曜日)の日本経済新聞に、まばたきには脳をリフレッシュさせるなどの役割があることが新たに分かったという記事が掲載されていました。まばたきは霊長類に特有の生理的な反応で、人間は1分間に平均20回もまばたくそうです。チンパンジーやニホンザルは1分間に10回以上まばたきをするのに対し、ネコやイヌはほとんどしないそうです。
まばたきは脳内の情報処理と密接に関わっていることが、最近の脳科学の研究から分かってきました。まばたきと脳活動の変化を観察したところ、集中力を発揮するときに働く脳の活動が、まばたきに合わせて一時的に低下したそうです。その反対に、リラックスした際に活動する脳の領域は、まばたきに同調するかのように血流が増えて活発に働いたそうです。ただ、意識的にまばたきを増やしても脳はリフレッシュされないそうです。
心理学の分野では、まばたきを指標に心の動きを探る研究も進んでいるとのことです。例えば、消費者が興味のある商品を目の前にするとまばたきが減ることを利用し、マーケティングや商品陳列に生かすことができるそうです。まばたきの回数が減るときは、重要な情報を目から入れようと集中しているときで、頻繁にまばたきをするときは、興味がなく、情報入力を拒んでいると考えられるそうです。
まばたきは好感度にも影響します。大勢の人がいるような緊張しやすい場面では、まばたきの回数が増えやすいそうです。大統領選挙のテレビ討論会を分析したアメリカの研究では、まばたきが多い候補者が負ける傾向にあるそうです。したがって、まばたきの回数を減らす練習をする候補者も多くいるとのことです。
昔から「目は口ほどにものを言う」と言いますが、まぶたの動きには心の働きが現れるようです。交渉事など、相手の思考状態や心理状態がつかめれば有利に進めることができます。まばたきの役割に注目する研究者が増えているそうですが、今後更に新しい発見があれば、それもまた様々な分野で活用されるかもしれません。