先日、船の名前に「丸」と付いていることが話題になり、早速インターネットで調べてみました。

日本の船名には語尾に「丸」がつくのが古来からの習わしのようです。外国では日本船のことを単に”maru”とか”maru-ship”と呼ぶこともあります。
また、既に削除されていますが、明治期に制定された「船舶法取扱手続」では船舶の名称の最後に「丸」を付けることが推奨されていました。

さて、この「丸」の語源ですが、いろいろな説がありまして、その中で最も妥当と思われる説を御紹介します。
元々は自分のことを「麿(まろ)、麻呂」といっていましたが、敬愛の意味で人名に付けられ、やがて自分の大事な物や更には船にも付けられるようになったというものです。そして、「麿」は「丸」に変わっていったそうです。
例えば・・・
「まろ」の人名 坂上田村麻呂、柿本人麻呂、喜多川歌麿、綾小路きみまろ?
「まる」の人名 牛若丸、日吉丸、森蘭丸、桂歌丸

このほかにも大事なものとして、刀剣や楽器、愛犬にも「丸」と付けていました。
「刀剣」 村雨丸・鬼切丸
「琵琶の名器」 獅子丸 などなど。
そして船です。豊臣 秀吉が朝鮮出兵で用いた日本丸、三代将軍の徳川 家光(とくがわ いえみつ)公の安宅丸(あたけまる)、幕末にアメリカに渡った咸臨丸(かんりんまる)など。

このように、大切なものに付した接尾語の名残が「丸」の語源で、それが船名や人名の一部に残されて今日に至るようです。

さて、日本の国旗は「日の丸」です。日の丸の原型は「続日本紀」にも登場するぐらい日本人になじみがあるものですが、船とも大きく関わりがあります。
幕末、薩摩藩の島津 斉彬(しまづ なりあきら)公が洋式軍艦建造を幕府に申請する際、日本船の総印として日の丸を使用しました。さらに、日の丸を日本全体の船印にするよう幕府に進言したところ、幕府はその必要性を認め、1854年に日の丸を日本全体の船印として定めました。以後、日の丸は日本のシンボルとして対外的にも定着しました。
日本人は昔から「丸」が好きだったのですね。