7月3日(月曜日)、経済協力開発機構(OECD)のアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長が県庁にお越しになりました。
この先進35か国の加盟国から成るOECDは、1,400名を超える専門家を抱える世界最大のシンクタンクであり、経済・社会分野において多岐にわたる活動を行っています。
OECD教育・スキル局では、現在、生徒の学習到達度調査(PISA)を主な事業の一つとして実施しています。
PISAは、義務教育修了段階の15歳の生徒が、身に付けてきた知識や技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測り、各国の教育政策の成果や課題の検証に活用するという目的で2000年から3年ごとに実施しています。
2015年の調査結果では、科学的リテラシーは、参加72か国・地域中、1位がシンガポール、2位が日本。読解力は、同じくシンガポールが1位で、日本が8位。数学的リテラシーは、同じくシンガポールが1位で、日本が5位でした。それ以前においても日本は各分野の上位グループの常連でした。
そのOECDの方がなぜ埼玉県に来られたのかと言いますと、埼玉県が独自に展開している「県学力・学習状況調査」に対する高い評価であります。
この調査において、埼玉県は、小学校4年生から中学校3年生まで一人一人の子供たちの学力を継続的に調査しています。この点が世界的に見ても非常に有益なデータということで、注目されているわけです。
日本の文部科学省だけではなく、OECDにとっても貴重なデータだというお話でした。
わずかな時間ではありましたが、これからの世界を担う子供たちは、単に知識を重ねたスキルだけではなく、イノベーションの基礎になるような知識やスキル、とりわけ、忍耐力や社交性、自尊心といった非認知能力を身に着けることが極めて重要だということを話されました。全く同感です。
埼玉県の取組は日本全体の参考になるだけではなく、世界の参考にもなりますとも言われました。
OECDとしても埼玉県と連絡を密にしながら、今後の県の学力・学習状況調査を見ていきたいと言っておられました。
こうした実証的取組は、すぐに結果が出るわけではありませんので、メディア的には取り上げにくいのかもしれません。しかし、極めて有意義なことを埼玉県がやっているということを強調したいと思います。