4月5日(火曜日)の日本経済新聞の夕刊の記事が大変心に響きました。前厚生労働事務次官の村木厚子(むらき あつこ)さんのコラムです。村木さんは冤罪(えんざい)で164日間拘置されるという、大変な目に遭った方で、大阪拘置所にいる時に接した女性刑務官の方々にお礼を言いたいという話です。

逮捕され拘置所に連れて行かれて最初に接した女性刑務官から「泣いてる暇はありませんよ。これから検察官と闘うんでしょ」と励まされ大層驚いたそうです。また、手錠をはめられたとき、「手首が痛い」と言うとすぐ調整してくれたそうです。これらの女性刑務官とのやり取りを通じて、村木さんは、まだ日本という国の刑事司法を信用していいのかもしれないと思ったそうです。

拘置所での最大の敵は暑さだったそうです。短パン、Tシャツの村木さんの横で彼女たちは制服を着て警備に当たっていたそうです。また、難しいタイプの入所者にも忍耐強く接し、大変丁寧な指導や支援をしていたそうです。

法務省は女性受刑者の特性に応じた指導や支援を強化する取組(マーガレット・アクション)を進めているそうです。その一環で、村木さんは女性刑務官との懇談に出席し、お世話になった方たちと再会、やっとお礼が言えたそうです。その刑務官が、受刑者を「不運が重なった人。私にも起こりうる」「愛情不足の人が多い」と優しいまなざしで見ていること、それ故に再犯で拘置所に再び入ってくると「達成感」を失うというのもうなずけたそうです。

このように、国の大きな官僚機構にあって、犯罪者と接したり、あるいはまた冤罪と闘う人と接したりする現場の中に、人間性あふれた優れた方がいることを改めて知ったところです。国の行政システムのほんの片隅のことかもしれませんが、こうした話があることを聞くとほっとするような気がいたします。