いよいよリオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックの開幕が近づいてきました。

1896年、フランスのクーベルタン男爵の発意により興された近代オリンピックは今年で120年目になります。この世界の平和と民族の祭典の源流が古代ギリシャにあることは誰もが知っているところです。当時のギリシャはアテネやスパルタなど大小500を超える都市国家がひしめき合い、国家間の武力衝突が絶えない社会だったそうです。相次ぐ戦乱により、疲弊した国民と国家の威信を回復させる策として古代ギリシャ人が始めたのが、オリンピアの「聖なる森」での競技会「オリンピック」であったそうです。

4年に1度、競技の行われる7日を挟んで、わずか1ヶ月間ですが、期間中はいかなる争いごとも中止して競技に専念しなければならない「聖なる休戦条約」を守り、古代ギリシャ戦士たちは、つかの間の平和を享受したそうです。紀元前776年に始まったこの古代オリンピックは、ローマ皇帝テオドシウスが紀元後393年に廃止を命じるまでなんと292回、1169年も続けられました。驚異的な歴史を誇る古代オリンピックとは、戦いばかりしていた古代ギリシャ人から必然的に生まれた、平和を求める人間性に基づいた民衆の知恵の結晶であったと言われています。

現代に目を転じてみても、悲しいことに戦争やテロは今なお消えず、国家、民族、宗教などが入り乱れ、世界情勢は混迷の度合いを増すばかりです。しかし、愚かさの一方、崇高で尊厳に満ちた面を合わせ持つのが人間です。オリンピック、そしてパラリンピックではアスリートのパフォーマンスに一喜一憂しながら人間の限りない可能性に驚嘆しつつ、平和の意味をかみしめたいと思います。

もし、古代にならって全ての戦いを休戦にすることができたらすばらしいですね。安倍総理、提案してみませんか。