うれしい手紙がフィリピンから届きました。送り主はモーゼス・タラベラ・マカリナオさん。平成元年7月から約9か月間、海外技術研修員として当時の埼玉県園芸試験場(現・埼玉県農業技術研究センター久喜試験場)で野菜栽培を学ばれた方です。
現在は、フィリピンの南ルソン州立大学の准教授として農業を教えていらっしゃるそうです。帰国してから教えた何千人もの卒業生が大学のあるケソン州内で働いているとのことで、埼玉県で学んだ農業技術がフィリピンの農業に役立っていることを知り、とてもうれしく思いました。
驚いたことに、マカリナオさんが埼玉県に来ていたときのホストファミリーは、田中暄二(たなか けんじ)久喜市長だったそうです。マカリナオさんの手紙には、「いつも田中さん一家のことを思い出しています。私からの感謝をお伝えください。」と書かれていました。そこで、田中市長に手紙をお届けしたところ、マカリナオさんのことをよく覚えていて、大変喜ばれていました。
また、マカリナオさんは「帰国から27年が経ちますが、日本での研修の経験は私の人生の一部です。」とも書かれていました。埼玉県での思い出を大切にされている方が他の国にいることは、本県、そして日本にとってすばらしいことだと思います。
埼玉県は海外からの研修生の受け入れだけではなく、県民の皆さんの海外留学支援も行っています。県の奨学生事業を活用して、姉妹州である米国オハイオ州の大学を卒業し、現在はマニラにあるアジア開発銀行に勤務されている方がいらっしゃるなど、本県から送り出した留学生がグローバルに活躍しています。
国際交流プログラムは、すぐに成果の出るものばかりではありません。しかし長期的に見れば、このような「人を育てる」活動が国際社会での日本の存在感を高める礎(いしずえ)になるのだと思います。
帰国から27年後のマカリナオさんの手紙が、改めて国際交流の意義を思い起こさせてくれました。県民の皆さん、引き続き、長い目で県の取組を応援してください。