ノーベル生理学・医学賞を受賞された 大村 智(おおむら さとし)北里大学特別栄誉教授率いる研究グループでは、人間にとって有用な物質を作り出す微生物を探し当てるために年間2,000株もの微生物を調べているそうです。
「絶えずやり続けること。そうでなければ絶対に見つからない」が持論の大村教授は、若い研究員たちを鼓舞しながら、微生物の分離、培養、精製などの地道な作業を繰り返しているそうです。

 「始めたことは最後までやり抜きなさい」とよく言われますが、実はこれが学術的にも的を射た指摘であることが、ペンシルバニア大学の心理学者、アンジェラ・ダックワース氏の研究によって明らかになっています。
彼女はニューヨークの公立学校で教員をしていた時、テストの点数が高い生徒と低い生徒の違いはIQの違いだけではないということに気が付き、この疑問を解決するために教員を辞めて心理学者になったそうです。
その後、一般企業ではどのようなセールスマンがより大きな利益を上げることができるか、厳しい訓練で知られるウェスト・ポイント陸軍士官学校ではどのような候補生が学校にとどまるのか等々、チャレンジングな状況に置かれたあらゆる大人や子供を研究しました。
その結果、ジャンルを問わず、集団における成功者には才能やIQとは関係のないある共通の要素が発見されたそうです。その共通点こそ「やり抜く力」でした。彼女はこれに「グリット」(不屈の精神、意志の力)という名称を与えたそうです。

 大村教授が静岡県伊東市の土の中から抗寄生虫薬「イベルメクチン」の開発につながる微生物を発見し、アフリカや中南米で多くの人々を失明の恐怖から救うことができたのもこの「グリット」の力だったようです。
成功の秘訣(ひけつ)は“とことんやり抜く”ところにある、というお話でした。