今の日本の大きな課題は、高齢化に伴う生産年齢人口の減少、そして少子化であります。
日本の人口構成を見ると、大きな割合を占める団塊の世代が65歳を超え、生産年齢人口の減少と高齢化が進行しています。ただ、これに関しては対策を打つことができます。女性の社会参加を促して経済を活性化させるウーマノミクスプロジェクト、あるいは健康寿命を延伸してアクティブシニアの活躍を促すことなどにより、社会の活力低下をある程度はカバーすることができます。
しかし、少子化についてはそもそも子供が生まれなければ対策が取れません。この少子化対策については後日改めて触れたいと思いますが、今日は少子化のもたらす影響について、人口とGDP(国内総生産)の関係から御紹介したいと思います。

人口

GDP(100万USドル)

アメリカ

318,628,000

16,799,700

中国

1,366,370,000

9,181,377

日本

127,130,000

4,901,532

ドイツ

80,781,000

3,635,959

フランス

65,959,000

2,737,361

イギリス

64,105,700

2,535,761

ブラジル

203,054,000

2,242,854

ロシア

146,068,400

2,118,006

イタリア

60,762,320

2,071,955

インド

1,248,440,000

1,870,651

※ GDPはIMFデータ(2013年)

このデータによると、GDP上位10国の順位は、アメリカ、中国、日本、ドイツ、フランス、イギリス、ブラジル、ロシア、イタリア、インドと続きます。人口数を見ると、GDP第1位のアメリカが3億1千万人、GDP第2位の中国が13億6千万人でここは逆転しております。このほか、GDP第7位のブラジルの人口が2億人余り、第8位のロシアが1億4千万人、第10位のインドに至っては12億4千万人の人口を抱えていますが、これら3か国を除くと、GDP第3位の日本以降は全て人口順になっています。
ゴールドマン・サックスの元アナリストで、現在は、国宝や重要文化財の補修を手掛ける(株)小西美術工藝舎の取締役社長であるデービッド・アトキンソン氏も指摘されていますが、単純に世界のGDPのグロスでの国別順位を見ていくと、先進国に関しては基本的には人口と対応していることが分かります。

ただ、言えることは、中国やブラジル、インドなどの新興国が今後何らかの形で一人当たりの労働生産性を向上させていけば、このGDPと人口との相関関係がますます明確なものになるのではないかと思っています。そういう意味でGDPにおける人口というのは極めて大きな要素であります。GDPは「労働力×生産性」で表されます。そういう意味で、日本の少子化というのは労働力が減るということであり、国の力を表すGDPが弱くなるということでありますので、正に要注意ということになります。