9月に熊谷市内の民家3軒で6人の犠牲者が出た痛ましい事件の教訓を踏まえて、熊谷警察署と熊谷市、熊谷市自治会連合会の三者が去る12月17日(木曜日)、犯罪情報の住民提供等に関する協定を締結しました。事件発生時に防災行政無線が活用されず、自治会に対する注意喚起もなかったことが被害の拡大につながったとの批判を踏まえて、防災行政無線の積極的活用や自治会との協力を規定した内容で、関係機関が連携を強化し、犯罪被害から地域住民を守るための取り決めがなされました。とてもいいことだと思います。

協定は対象事案を危険度や緊急性に応じて3段階に分類し、殺人や強盗等のうち連続発生の恐れがある事件や凶器を持った不審者情報など最上位の重要犯罪情報では、防災行政無線や県警のメールによる注意喚起や学校を通じた児童・生徒、保護者への呼び掛け、自治会を通じた地域住民への注意喚起などを積極的に行うとしています。こうした仕組みを協定として定め、それぞれの関係者の間で自らの役割や連携方法をあらかじめ取り決めておくことによって、犯罪被害から地域住民を守り、場合によっては犯罪の解決、あるいは抑止につなげていくという考え方です。

不幸にして起きてしまったことをただ反省するだけでなく、何故そのようなことが起こってしまったのかをしっかり分析し、将来に生かすことが大切です。個人や個々の機関レベルでは善意で一生懸命頑張ったとしても、関係者間の連携が不十分なために情報がうまく伝達されなかったことが今回の大きな問題点でした。今回の仕組みは、こうした問題を繰り返さないためにつくられたものです。しかし、この仕組みそのものはスタートしたばかりですから、うまく機能するかどうか訓練を重ねたり、何回も活用する中で、その精度を高めていく努力をしなければならないのではないかと思います。