私たち国民は、所得税や消費税などの様々な国税、住民税や都市計画税などの様々な地方税を納めています。さらに、健康保険料や介護保険料、公的年金の保険料といった社会保険料も支払っておりますので、それなりの負担をしていると思っています。しかしながら、自分が受けているサービスにどのくらいの公費が投入されているかということについては、発表されていないこともあり、知る人は少ないと思います。

 例えば、保育サービスに関しては、県内の私立保育園に子供を一人預けていると、平成26年度は一人当たり607,724円の公費が投入されています。また、平成25年度の公立学校(県内)における児童・生徒一人当たりの公費負担は小学校で752,638円、中学校で897,067円、全日制の高校で917,089円です。私立高校には公費である補助金が支出されており、埼玉県の平成27年度予算における生徒一人当たりの額は492,126円です。また同じく平成27年度予算になりますが、国立大学(全国)に対しては、学生一人当たり1,802,133円というかなりの額の公費が投入されています。

 国民健康保険や基礎年金にも公費が投入されており、これも決して少ない額ではありません。例えば、基礎年金には2分の1の割合で国費が投入されています。つまり、65歳以上の方に支給される老齢基礎年金の場合、満額の約78万円のうち約39万円は公費が投入されていることになります。

 したがって、公立学校に通う小学生と中学生の二人のお子さんがいれば、大体それだけで年間170万円程の公費が投入されていることになります。さらに、65歳以上の御家族が1人いらっしゃれば、基礎年金分で40万弱の公費が加わりますので、合せて200万円程の公費が投入されていることになります。もちろん、それ以外にも公費が投入されているものはいろいろあると思われます。

 こうした公費は、企業が負担している法人税や固定資産税、また個々人が納めている所得税や消費税などの税金が原資となっています。そして、政府や地方自治体を通じて、私たち一人一人の暮らしに還元されているわけです。
 時には、自分が支払っている公的負担の額と、自分が受けている公的サービスに投入されている公費の額とを比較して考えてみることも、大事なのかもしれません。