去る11月12日(木曜日)に、さいたま新都心のホテル「ラフレさいたま」において第58回埼玉文化賞及び第44回埼玉県地方自治功労賞の授賞式がありました。そして、ノーベル物理学賞の受賞が決定し、いま正に旬の方である東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章(かじた たかあき)先生が埼玉文化賞の特別賞を受賞されました。この「埼玉文化賞」は埼玉新聞社が主催するもので埼玉県の出身又はゆかりのある方で特に、芸術、教育、農林、商工、社会文化、スポーツの各分野で活躍し、本県の文化の発展・拡大に大きく貢献された方々を顕彰する制度であります。また県や市町村の行政、警察・消防の業務で顕著な功績を収められた方々を顕彰するのが「地方自治功労賞」であります。

 埼玉新聞社が梶田先生に授賞式への御出席を打診したところ、この日は日程がうまく合い、御本人が出席されることになりました。私も毎回授賞式に呼んでいただいているおかげで、やっと梶田先生御本人にお目にかかることができました。テレビや新聞を通じて感じていたお人柄そのもので、大変気持ちの良い、爽やかな方で、かつ、優れた人格と見識をお持ちの方だと改めて感心したところです。お会いした際に、私から「2000年代に入って以来、物理や化学、医学生理学の自然科学部門で日本のノーベル賞の受賞者の数がアメリカに次いで2番目に多く、非常にいい状況だ。」と申し上げました。すると、梶田先生は「それは1980年代や90年代の日本が元気のいい時に、それなりの予算や仕組みをつくって頑張ってきた成果が今出ているのであって、最近の日本の元気のなさから、そうした研究や人材育成などが弱くなっているきらいもなきにしもあらずなので、これからが心配です。」というようなお話しをされていました。

 教育や科学技術の発展というものは、常に未来を意識しながら、今のためにあるのではなくて将来のためにあるものですから、時間をかけた投資が必要となります。そういう意味で、私も未来への投資ということに関しては心掛けているつもりですが、梶田先生から改めて教えていただいたところでした。