6月29日(土曜日)の毎日新聞に、アメリカとスイスの国際研究チームが「落とした財布は戻るか?」という人の正直さに関わる調査結果を公表したとの記事が掲載されていました。

研究チームは「お金が入っていない財布」と「13.45ドル(おおよそ1500円)の現金が入った財布」を用意しました。財布に持ち主の連絡先が書かれた名刺や鍵も入れ、世界40か国355都市で、銀行、劇場、博物館などのカウンターに「そこに落ちていました」と財布を置いていって、持ち主に連絡が来るか調査したそうです。
その結果、持ち主に連絡が来た「返却率」が高かったのはスイス、北欧諸国、オランダなどで、低かったのはペルー、中国、モロッコなどでした。

研究チームが意外に思ったのは国ごとの返却率ではなく、「お金あり」の方が「お金なし」より返却率が高かったことです。周囲の目や監視カメラの有無は関係なく、40か国中38か国で「お金あり」の方が返却率が高くなっています。
確かに、意外な結果だなという気がします。

この結果から考えられるのは、返却には、「持ち主の不便さを気にかける利他的行為」や「返さないと自分が盗んだように感じる心理的負担」が影響しているのではないかということです。
試しに、財布の中のお金を増やしてみると返却率は更に上がり、「鍵なし」を試すと返却率は下がりました。
質問用紙による調査でも、「お金なし」より「お金あり」の方が「返さないと盗んだ気になる」と感じる人が多いという結果でした。つまり、「返さないで得られる経済的利益」より、「正直であるという自己イメージを保つこと」の方が大切だということです。

ちなみに、この調査には日本が含まれていません。「交番がそこら中にあって、人々は財布の持ち主に連絡するより、交番に届けるので」というのがその理由だそうです。

財布を落としても大抵戻ってくるのが日本の良いところです。日本で同様の調査を行った場合、お金や鍵の「あり」「なし」に関わらず、間違いなく極めて高い返却率になるでしょう。