最近、「睡眠負債」が注目されています。「睡眠負債」とは、日々のわずかな睡眠不足が、まるで借金のようにじわじわ積み重なることだそうです。
国民健康・栄養調査によれば、20歳以上の日本人で睡眠時間が6時間未満の人の割合は、平成19年に28.4パーセントだったものが平成27年には39.5パーセントとなり、実に約4割の方が慢性的な睡眠不足になっているそうです。

いわゆる睡眠不足と言うと、1日2~3時間睡眠などの生活をイメージするのではないでしょうか。こうした極端な睡眠不足を続けていれば、当然のことながらストレスや疲労の影響で生活の質が低下したり、様々な病気を引き起こしたりしてしまいます。

ところが、5~6時間寝ているから睡眠不足ではないと思っている人でも、実は、毎日のちょっとした寝不足の陰に大きなリスクが潜んでいることがアメリカでの最新の研究で分かってきました。
アメリカ人の平均睡眠時間は8時間30分ほどだそうですが、アメリカの大学などで、「徹夜」と「6時間睡眠」のグループの注意力や集中力の変化について調べたところ、6時間睡眠を2週間続けた脳は2晩徹夜したのと同じレベルになってしまうことが分かりました。しかも、この睡眠負債の恐ろしいところは自覚症状がないことだそうです。睡眠負債をためると自分では気付かないうちに仕事や家事のパフォーマンスが落ちてしまいます。別の研究ではがんや心臓病、認知症など様々な病気のリスクが高まる可能性も指摘されています。

睡眠負債を見極める目安として、「寝だめ」が起きるかどうかという方法があります。光が入らないように遮光した寝室で、時間が分からないようにして寝ます。眠気がなくなるまでぐっすり寝て(目覚めても眠気が残っている場合、二度寝をする)、睡眠時間が通常より2時間以上長くなった場合には、睡眠負債があると思った方がよいそうです。

睡眠負債を返済する方法は単純で、これまでより長く寝ればよいそうです。ただ、「寝だめ」は生活リズムが乱れるのでよくなく、お勧めは、平日の睡眠時間を今よりちょっとだけ多めにし、週末も同じ時間をキープすることだそうです。

参考にNHKのホームページに掲載されている「すみやかに寝るための10か条」を申し上げます。

一、午前中に日の光を浴びよ
二、食事の時間は一定にせよ
三、運動は夕方に。散歩もよし
四、カフェインは寝る3時間前まで
五、酒は寝る3時間前まで
六、寝る2時間前より強い光を避けよ
七、風呂は寝る30分前に
八、寝室は18度~26度に保つべし
九、布団でのスマホ・ゲームは御法度
十、寝なきゃとあせるべからず
監修:白川 修一郎(しらかわ しゅういちろう)さん(睡眠評価研究機構代表)