かつて小学校の校庭には、必ずと言っていいほど二宮金次郎像がありました。薪(たきぎ)を背負って勉学に励んでいた少年の像で、寸暇(すんか)を惜しんで勉強する姿が印象的です。当時、夜は明かりがとれなかったので、昼の時間が貴重であったこともあるのでしょう。
金次郎は道徳の世界の偉人という印象が強いですが、実は経営者として超一流であったことはあまり知られていません。この優れた経営者としての側面に焦点を当てた「二宮金次郎」という映画が6月1日(土曜日)から公開されます。
金次郎は600以上の農村の復興を手掛けました。一家離散や逃散(ちょうさん)が相次いでいるような村に出掛けて行っては殖産興業を教え、生活の在り方を教え、その村を復興させました。このことが有名になり、次から次に金次郎を招いては多くの村が復興したそうです。
そんな金次郎について有名な方々が言及しています。いわゆる安田財閥を築いた安田 善次郎(やすだ ぜんじろう)、新一万円札の顔となる渋沢 栄一(しぶさわ えいいち)、真珠王といわれた御木本 幸吉(みきもと こうきち)、財界総理ともいわれた土光 敏夫(どこう としお)、経営の神様ともいわれている松下 幸之助(まつした こうのすけ)、そして正に経営博士とも言うべきピーター・F・ドラッカー、こうした多くの方々が金次郎の教えに学んでいます。
このように、金次郎は「報徳思想」により日本的経営の源流として多くの経営者、実業家の経営に影響を与えた方であったのです。ある意味では、日本のドラッカーとも言える思想家であり、何よりも実践家でありました。
二宮金次郎のこうした姿を多くの方々に知っていただきたいと思います。
映画「二宮金次郎」公式サイト(外部サイト)