現在、NHK大河ドラマで、日本初のオリンピック選手である金栗 四三(かなくり しそう)を主人公とした「いだてん」が放送されています。

このドラマに、俳優の永山 絢斗(ながやま けんと)さんが演じる「野口 源三郎(のぐち げんざぶろう)」という人物が登場しています。

実はこの方は、埼玉県初のオリンピック選手です。現在の深谷市に生まれ、埼玉師範学校(現 埼玉大学)を経て東京高等師範学校(現 筑波大学)へ入学し、当時の校長で柔道の創始者・嘉納 治五郎(かのう じごろう)に認められ陸上競技に専念します。

1920年、ベルギーのアントワープで行われた第7回オリンピック大会に陸上十種競技の選手兼主将として参加し、埼玉県初のオリンピック選手となります。結果は振るわず第12位でした。海外選手との体力や技術の差を感じた野口は、欧米のスポーツ界を視察し、高い水準の知識や技術を日本にもたらしました。

第2次世界大戦後、東京高等師範学校などを包括し設立された東京教育大学(現 筑波大学)教授となり、日本で初めて創設された体育学部の学部長に就任しました。埼玉大学の教育学部長も務め、埼玉県はもちろん日本における体育教育の普及とスポーツの発展に尽力されました。

また、野口は、今やお正月の風物詩となっている「箱根駅伝」の考案にも関わっています。鴻巣の小学校で行われる運動会の審判員として招かれていた野口や金栗らの汽車の中での会話が、歴史ある駅伝大会創設の発端となったということです。

毎年埼玉県では、本県における体育・スポーツの振興・発展に貢献し功績があった方やスポーツ界で優秀な成績を収めた方を表彰しています。今年は3月9日(土曜日)に表彰式を行いました。

表彰式では、「野口記念体育賞」の授与も行います。この賞は、野口の古希を記念した寄附金を基に設立されたもので、昭和34年から県内の体育の振興・発展に貢献した指導者や選手を表彰しています。優れた先人の名を冠した賞が今も続いていることに感動を覚えます。

来年は、東京2020オリンピック・パラリンピックが行われ、埼玉県もバスケットボール、サッカー、ゴルフ、射撃の会場となります。
野口が出場したオリンピックからちょうど100年に当たるこの大会で、野口の後輩ともいえる本県ゆかりの選手たちが大いに活躍してくれることを切に願っています。