昨日、ときがわ町で林野火災が発生しました。現在、消防職員や消防団、自衛隊などの皆さんが夜を徹して消火活動に当たっています。

実は、埼玉県下では乾燥している冬の時期を中心に山火事が年に2、3件起こっています。大きく報道されることが少ないのは、すぐに鎮火することが多いためです。なぜ鎮火しているかといえば実はダム湖のおかげでもあります。

埼玉県に限らず、かつて日本の電力は水主火従(すいしゅかじゅう)、つまり水力を主とし、火力を従とした時代がありました。このため発電用のダムが各地に造られたほか、下流の農業用水を得るためにもダムが造られ、水量の調整などが行われてきました。
実は山火事が起こると、こうしたダムの水を自衛隊等の大きなヘリコプターから吊り下げた大きな巾着袋のようなもので水をすくい上げ山に運び、上からバシャっとかけて火の元を消していくわけであります。川の水は浅く、すくい上げることはできませんが、ダム湖の水は深いので水をすくい上げることができます。
山火事が起こるような山の中では消防車が通れる道がなかったりします。また、急峻(きゅうしゅん)な山だと、地元の消防団等がたどり着くことすら難しかったりします。仮にたどり着いても背負ってきた10リットル程度の水だけでは、一瞬にして使い切ってしまいます。そうしたときに、ヘリコプターによる消火が威力を発揮するのです。

日本では山火事が大きく広がって大きなテレビニュースになる事例はあまり記憶がありません。一方でアメリカなどは山火事がいったん起こると鎮火するまでに何週間もかかったり、あるいは多くの方々に犠牲が出たりしています。ダム湖、火山湖などがあることで日本は山火事を防いでると言えるかもしれません。思わぬところでダムが役に立っていることをお知らせしたいと思います。