今日から年内のブログは、彩の国だよりに掲載した「知事コラム」のうちで読者の皆さんからの反響が良かった記事を掲載します。なお、記事に含まれるデータは現在の数値に修正してあります。

私が毎日見ている数字があります。それは、県警察本部から毎日届けられる「交通事故日報」に記載されている交通事故死者数です。知事室のドアのすぐ横の壁に貼っています。毎日それを見て、死者数が多いとため息をつき、ゼロが続いたりすると思わず胸をなで下ろしたりしています。

衆議院議員の時にはそれほど意識したことがなかったのです。知事になった途端に、県民の皆様の生命を守るということにこれまでにない強い責任感を感じるようになりました。立場が変わるとこんなにも違うものかという思いです。

さて、平成28年10月末時点における本年の全国の交通事故死者数は、ワースト1位が愛知県の164人となっています。2位が千葉県の149人、3位が東京都と大阪府と埼玉県の127人、6位が北海道の122人、7位が兵庫県の120人、8位が茨城県の118人、9位が静岡県の114人、10位が福岡県の111人と続きます。人口の多い都道府県が上位です。

本県の交通事故死者数は、127人と昨年同時期に比べて9人減少しています。しかし残念な点があります。高齢者の死者数が71人で死者数全体の半数以上を占めています。この傾向をまだ克服できていないことです。

今年度から始めた「埼玉発・高齢者安全運転推進プロジェクト」を引き続き推し進め、改めて、知事部局と県警察本部とで課題解決に向けて必要な対策を講じていきたいと思います。

ところで、本県の交通事故死者数は全国ワースト3位ですが、ここで少し見方を変えて、人口10万人当たりの交通事故死者数を見てみますと、少ない順に、1位が東京都の0.94人、2位が神奈川県の1.16人、3位が大阪府の1.44人、4位が埼玉県の1.75人となります。

本県は主要道路がひしめき交通量が多い割には、人口当たりで見た死者数は少ないことが御理解いただけると思います。

数字は嘘をつきません。しかし、特定の数字だけを見て全体像を見誤ってもいけません。様々な数字とにらめっこをしながら、その本質的な意味を考え、どうすれば県政に生かせるのかを考えるようにしています。