第9回の本多静六賞が決まりました。本多静六(ほんだ せいろく)博士は、本県の旧菖蒲町、現在の久喜市の出身で、日本の造園学、林学の創始者です。本多静六博士の業績は、多岐にわたっています。有名なところでは、明治神宮の森を計画し作り上げたことです。また、日比谷公園をはじめ、大宮公園、北海道の大沼公園等々、全国の200余りの公園の設計や改良に携わっておられます。さらに、はげ山になった六甲の山を緑豊かな山へと復活させたのも、本多静六博士であります。また、東北地方の方々にとっては、鉄道防雪林を作ったことでも有名で、今日でもJR東日本は本多静六博士の業績を称えております。

県では、この本多静六博士にちなんで、緑と共生する社会づくりに貢献した方や団体を表彰する「本多静六賞」を設けております。今回は、「お菓子な郷(おかしなくに)推進協議会(会長:町田啓介(まちだ けいすけ)さん)」が受賞されました。受賞理由は、秩父地域に自生するカエデから樹液を採取し、国産メープルシロップ(秩父カエデ糖)を生産するとともに、秩父カエデ糖を用いたお菓子を創作して販売するなど、林業と商業の協働に取り組んで、地域の活性化に貢献したことが主なところであります。

お菓子な郷推進協議会では、混み合ったスギ、ヒノキを多目に伐採し、その場所へカエデを植栽し、荒廃した森林の再生にも貢献されています。また、秩父地域の特性を生かした商品開発を進めるため、カエデ酵母菌やカエデ炭の活用研究を行うなど、カエデの多用途研究及び事業化にも取り組んでおられます。さらに、「カエデのラムネ」という飲み物を作ったりして、売上金の一部を県及び秩父市に寄付されています。平成27年には内閣官房・農林水産省主催の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に選定されました。極めて活発な活動が評価されているところであります。

これまで団体では、全国でも有数な森林ボランティア団体である「NPO法人埼玉森林サポータークラブ」、卒業生と在校生が一緒に浦高百年の森づくり活動を展開している「県立浦和高等学校同窓会」が受賞されています。団体の受賞は今回で3回目であります。本多静六賞を受賞された団体の皆様には、今後とも埼玉の緑を育てる運動を盛り上げていってほしいと思います。