本県加須市と東京電力福島第一原発事故で加須市内に1,400人を超える住民が役場ごと一時避難していた福島県双葉町が友好都市になることとなり、11月3日(木曜日・文化の日)、福島県いわき市内で締結式が行われました。両市町は今後スポーツなどの交流を通じ、友好都市としての関係を築いていくことになります。

双葉町では原発事故後、約210km離れたさいたま新都心の「さいたまスーパーアリーナ」に町民の方が避難するとともに役場機能を移転し、その後2011年3月末、加須市内の旧騎西高校へ一時避難所と役場を移しました。2013年6月、役場はいわき市に移転しましたが、約500人の町民は今も加須市で暮らしています。

友好都市については双葉町からの発案だそうです。双葉町の伊澤史朗(いざわ しろう)町長は、「加須市に移って畳の上で寝ることができるようになったのは忘れられない。復興に向けて前進していけるのは加須市の、また加須市民の支援があったからだ。」と語っておられます。

原発事故をきっかけに友好都市になるというのは他に例のないことだと思います。避難してこられた人たちとその避難を受け入れた人たちとの温かい友情と交流の輪が重なったことが、自然に友好都市という将来にわたる関係につながっていったというところでしょうか。美しい話です。双葉町が早く原発事故から立ち直り、全員が帰還できる環境が整えられるよう心から願うところです。

私も8月17日(水曜日)に、全国知事会東日本大震災復興協力本部長という立場で、双葉町を訪問しました。伊澤町長に御案内いただいて双葉町役場の屋上から町全体を見渡しましたが、かつては豊かな実りを育んだ水田には高さ3mにもなるような柳の木が成長していたり、放射性物質を含んだ残土が黒いビニールのような袋に入れられ、あちこちに仮置きしてある状況が見られました。早くこの廃棄物を処理し、帰還可能な状態にしなければ、真の意味での復興にならないと感じたところです。

2020年までに復興を終わらせるという東京オリンピック・パラリンピック招致の精神をしっかりと政府は思い起こしていただきたいと思います。