1月16日(水曜日)に日本政府観光局(JNTO)が2018年の訪日外国人数の推計値を発表しました。天災が多かったにもかかわらず、2017年よりも9パーセント増加し3,119万人となったということです。
この発表について、株式会社日本総合研究所の藻谷 浩介(もたに こうすけ)主席研究員のコラムが1月20日(日曜日)の毎日新聞「時代の風」に掲載されていました。
訪日外国人数の国別の数字をみると、2018年の1年間に日本に入国した米国人は153万人で2017年より11パーセント増えています。また、カナダ人は33万人で8パーセント増えました。それでは、米国人とカナダ人どちらがより頻繁に訪日していることになるのでしょう。
国連人口部作成の2017年の推計・予測に基づき、2018年現在の各国の人口を各国からの訪日人数で割ってみると、米国人は214人に一人、カナダ人は112人に一人ということで、カナダ人の方が2倍も多く訪日していることになります。オーストラリア人は45人に一人、イギリス人は199人に一人、フランス人は214人に一人です。いかにオーストラリア人、カナダ人が日本をよく訪れているかが分かると述べています。
アジアでは、中国からの訪日人数は、昨年は14パーセント増えて838万人となり、169人に一人と、米国を抜き去る水準となっています。
今後も中国人客は増えていくのか、そろそろ頭打ちなのか。ヒントになるのが台湾や香港からの訪日の頻度です。昨年1年間だけで台湾からは5人に一人、香港からは3人に一人が訪日した計算になります。中国系住民の多いシンガポールからも13人に一人が訪れています。ビザ要件が緩和されたタイやマレーシアからも、それぞれ61人に一人、68人に一人が訪日しています。これらの数字を見ると、中国人の訪日が今の程度にとどまるとは考えられないとのことです。
韓国はどうかといえば、徴用工訴訟などいろいろな問題が顕在化し、暮れにはレーダー照射問題も加わって両国関係はやや冷えているように思えます。それでも、昨年訪日した韓国人は7人弱に一人ということですから、韓国国民の15パーセントです。海外に行った日本人の総数が1,895万人で国民の7人弱に一人ということなので韓国人がいかに日本を訪れているかが分かるとしています。
国と国民は違うということが、こんなことからもよく分かります。こうした点もしっかり見極めていかないと私たちは誤ったメッセージを送ることになるかもしれません。