私がよく啓発を受けている株式会社日本総合研究所の藻谷 浩介(もたに こうすけ)主席研究員の「入管法改正の愚策」と題するコラムが、昨年12月2日(日曜日)の毎日新聞「時代の風」に掲載されていました。

外国人労働者の増加は、日本の人手不足解消の切り札になるどころか、解消の糸口にすらならないという内容です。
先の国会で入国管理法の改正法が成立しました。今回の改正により外国人労働者を今後5年間で35万人増やすというのが政府の見通しです。
一方、日本の在留外国人数は2012年末の203万人を底に、2018年6月末には264万人と過去5年半で既に60万人以上増加しています。それでも人手不足は深刻化していますので、35万人の増加程度で解消するはずもないというのが藻谷さんの指摘するところです。

そこで藻谷さんは、島根県の事例を研究したらどうかとこのコラムで提案しています。
島根県は共働き家庭の子育て支援が充実し、25歳から39歳までの女性の就業率は47都道府県で第1位、合計特殊出生率も第2位だといいます。そこで、仮に日本全国で25歳以上の女性の就業率が島根県と同水準まで上がれば、日本の就業者数は2020年時点でも、2015年の実数より371万人も多くなるという話です。日本語を話せない外国人の子供の教育や医療など膨大な社会的コストを払って外国人の低賃金労働者を増やすよりも、女性の活躍の場を広げた方が、はるかに効果的・効率的だと藻谷さんは指摘しています。

こうした数字を見ると、女性活躍社会の重要性がよく分かります。働く環境の整備、ワークライフバランスの改善、子育て支援の充実など、しっかりと考えなければならないと改めて感じました。