東松山市の社会保険労務士の小林克治(こばやし かつじ)さんが、東日本大震災後に知り合った宮城県南三陸町の男性を励まそうと、趣味の俳句を書いた色紙30枚以上を2年間にわたって送り続けておられます。小林さんは昨年5月に同町で行われた桜の植樹祭にも参加されて、被災地への思いを直接伝えておられます。なかなかすばらしい句を作っておられます。
「追憶を 海へ沈めて 雪降れり」
「人はみな 支え寄り添い 秋ざくら」
いろいろな思いを海に沈めて、雪がそれを隠してくれる。人は皆、支え寄り添い、生きている。それはまるで寄り添って咲いている秋ざくらのようでもある。という気持ちでしょうか。
小林さんは『南三陸』というタイトルの句集も作られています。挿絵も御自身で描かれて、とても明るく感じのいい句がたくさんあります。中でも、私が気に入ったのが・・・
「また燕来る 東北の海の青」
いろいろなことがあっても生命は育まれている。また今年も燕が来て、東北の海の青さは変わらない。そういう思いです。とてもすばらしい句ですね。
全体として、この世に生を受け、そしていつかは去っていく生命の無限の営み、その中でつらい思いも何もかもすべてを飲み込んでいく悠久の自然、そういう流れの句が多いような気がします。挿絵も全体として明るいタッチなのは小林さんの前向きな生き方が表れているからでしょう。
大変心に響くお話です。こうした様々な形で被災地の皆さんを応援している方がいらっしゃることを知ることもまた気持ちの良いものです。