6月12日(火曜日)に閣議決定された2018年版の「科学技術白書」が、日本の科学技術について「基盤的な力が急激に弱まってきている」と指摘しています。

研究者が人脈を広げるためには海外での研究活動は極めて重要です。しかし、白書によれば、日本から海外へ派遣された研究者の数は2000年度の7,674人をピークに減少し、2015年度は4,415人だったということです。

研究の影響力を示す論文の引用回数を見ると、日本は「上位10パーセントに入る論文数」で、2003年から2005年は米英独に次ぐ世界第4位でした。しかし、2013年から2015年には中国やカナダなどに抜かれ第9位と、急激に順位を落としています。

日本経済新聞が20歳代から40歳代の研究者を対象に実施したアンケートでも、その8割が「日本の技術の競争力が低下した」と回答しているそうです。

ノーベル賞における物理学賞や化学賞など自然科学3賞の受賞者の平均年齢は50歳代から60歳代ですが、受賞につながる研究は、20歳代後半から30歳代の若い時に行ったものが中心だそうです。

2年毎に開かれる技能五輪国際大会における金メダル獲得数の国別ランキングでも、日本はこれまで第1位から第3位の常連でしたが、昨年は第9位まで落ち込みました。

石油や石炭などの天然資源が少ない日本にとって、最大の資源は「人」だと言っても過言ではないでしょう。日本の未来のためには、若い研究者や技術者を育成し、科学技術大国日本を復活させなければならないと改めて実感したところです。

国は科学技術力の向上に相当ネジを巻かなければいけないと思います。
埼玉県においても「先端産業創造プロジェクト」などを行うことで、しっかりと科学技術力の向上を支援していきます。