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埼玉県が独自で行っている「学力・学習状況調査」が注目を浴びています。東洋経済オンライン(5月16日掲載)でも紹介されましたが、その内容をブログで紹介したいと思います。

子供の力はどうすれば伸びるのか、良い教師の条件とは何か。子供を持つ親であれば誰もが気になるところです。
本県が2015年から始めたこの学力調査は、3年間で累計約90万人のビッグデータを活用し、子供の力を伸ばす条件を客観的に把握する画期的な取組です。

新しい学力調査を始めるに当たって、まず着目したのは「伸び率」です。これまでの学力調査では、ある年のある学年の試験を実施して、全体の平均点と比べて高いか低いかという評価に終始していました。これでは一人一人の学力の伸びはなかなか把握できません。

平均点に達していない子供でも、伸び率を見て成長が認められれば、その子供の力は伸びたと言えます。そこで、子供一人一人の成績に注目し、例えば小学4年生の子供が5年生、6年生と進級するたびに「追跡調査」を行います。これにより、その子供がどれだけ力をつけたか分かるようになります。ここが従来の学力調査との大きな違いです。
こうした調査を自治体レベルで大規模に実施するのは、国内はもちろん世界的に見ても極めてまれな取組です。

では、子供の力はどうすると伸びるのか。
ビッグデータを活用した分析で、一定の因果関係として分かってきたことが2つあります。

一つは、自制心や勤勉性、苦手でも頑張る気持ちといった要素、これらを伸ばせば学力は伸びていくのではないかということです。
もう一つは、主体的・対話的で深い学びをもたらす授業や、上手にクラスをまとめられる教師によって、より伸ばされるのではないかということです。

学力を上げようとすると、どうしても目の前の試験で良い点数を取れるように勉強させがちです。しかし、分析結果からは、こつこつまじめに、苦手な教科でも頑張って取り組む態度をどれだけ養えるか、こうした視点を持つことが重要であることが示唆されています。

そして、学びに対するこのような子供の姿勢や態度は、一方的に教え込まれるよりも、教師が主体的・対話的な授業で深い学びを引き出せているかどうかによって決まってくるということが分かってきました。つまり、これができるのが良い教師の条件の一つと考えられます。

これは教育現場だけでなく、仕事や家庭でも似たようなことが言えるかもしれません。

本県と同様の取組は、今年度から福島県郡山市、西会津町や広島県福山市でも実施されているほか、OECD(経済協力開発機構)も注目しています。埼玉発信のこの取組が世界の教育政策に大きな影響を与える日が来るかもしれません。

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