9月22日(土曜日)、さいたま市民会館うらわで「第7回親守詩(おやもりうた)埼玉大会」が行われました。「親守詩とはあまり聞き慣れない言葉だ」とお思いかもしれませんが、連歌を通じて親と子が心の会話をするというなかなか良い企画です。小・中学校57校、高校1校、幼稚園4園の合計62校から3,755作品が応募されたそうです。
知事賞を受賞した作品は、小学生が詠んだ「ああうまい こんな食卓 あるものか」に続き、お母さんが「その笑顔みて また腕がなる」と返しています。また、県議会議長賞受賞作品は「せいくらべ パパのせ(背)こすよ まっててね」「のびろのびろと 柱に刻む」でした。
このように、子から親へ送られた言葉と、それに対する親から子への返事を一つの歌にしたのが親守詩です。
私が「これはいいな」と気に入ったのが、「鬼の声 心にひびくよ 母の愛 それがわかれば 鬼卒業ね」です。「お母さんから怒られても、結局母の愛情を感じる」という子に対し、「そうしたことが分かるようになったのなら鬼を卒業できるね」という母の返事です。
このように、親守詩は親と子が心のキャッチボールをするものです。家族の絆が弱まったともいわれる今日ですが、こうした日本古来の歌の形式に乗せて、子は親に感謝を、親は子に改めて深い愛情を伝えるのは大変良いことです。
埼玉県教育委員会の委員長もなさった明星大学教授の髙橋 史朗(たかはし しろう)教授が提唱されたもので、同様の催しが全国で展開されています。数年前からは、連歌に加え定型詩や作文なども加わりました。
親守詩はささやかな取組かもしれませんが、作品を作った親子は間違いなく何かを感じたと思います。そして、これからも作品を読み返すたびに親子の愛情を確認するはずです。そうしたことから、親守歌は親子が愛情を確かめ合う機会を増やす取組だといえます。
こうした丁寧な活動が全国各地で一つ一つ重なっていくことが、現代に必要な「心のきずな力」を高めるものと思います。