かつては二世代、三世代での同居が当たり前だった日本ですが、65歳以上の高齢者について子供との同居率を見ると、昭和55年に約7割であったのが平成27年には約4割と、35年間で大幅に減少しています。
高齢者人口に占める一人暮らしの割合も、昭和55年に男性4パーセント、女性11パーセントであったのが、平成27年には男性13パーセント、女性21パーセントへと、その割合は男性で約3倍、女性で約2倍と大きく増えています。
最近では、周囲とのつながりから断絶されてしまった高齢者が孤独死するというニュースもしばしば耳にするようになりました。
振り込め詐欺や消費者被害の被害者となるケースや、万引きなどの犯罪に自ら手を染めてしまうといったケースも、元をたどれば一人暮らしの寂しさが原因であることも多いようです。
そのような中、「異世代ホームシェア」の取組が始まっているという話を聞きました。その先進国の一つがフランスです。
フランスでは、2003年の猛暑の際、独居高齢者の孤独死が相次いだことがきっかけとなり、非営利団体が空き部屋を持つ高齢者と、格安の住居を求める若者のマッチングを始めました。現在では活動団体数も増え、フランス全土に広がっているそうです。
ある団体では、「無料住居(週6日の夕食同席と夜間在宅)」「経済的住居(週1日の夕食同席と夜間在宅、買い物支援)」「連帯住居(高齢者への気配り)」の3つの形式を用意し、高齢者の希望に応じたホームシェアのマッチングをしているということです。
異世代ホームシェアは、高齢者が支えられるばかりではありません。食事を作る、掃除をするなど、日中家にいない若者に代わって高齢者が家事を行うことで、一人暮らしに慣れない若者のストレスを軽減するという面で高齢者は若者を支える立場でもあります。
国内では、京都府などで異世代ホームシェアに取り組んだ事例がありますが、民間団体の取組を含めてもまだまだ少ないようです。
今後、高齢者の見守りや空き家対策といった社会的課題の解決という視点からも、注目していきたい取組の一つと考えています。