7月25日(月曜日)に、平成28年度の「埼玉発世界行き」奨学生の壮行会と帰国報告会がありました。本県は平成23年から毎年280人前後、これまでの5年間の合計で約1400人の奨学生を海外の大学に送り出しています。この数はまさしく全国トップレベルです。今年度も285名の奨学生を世界37の国と地域に送り出すことになっています。
こうした制度をつくった理由は、日本から海外に行く留学生が平成16年をピークに年々減り続けているというデータを見たことと、大手の商社でさえ若手社員で海外勤務を希望しない人が急増しているという事実を知ったことにあります。こうした現状に私は極めて強い危機感を抱きました。それならば本県がリーダーシップを取って海外にできるだけ多くの若い人たちを送り出そうということで、10億円規模の「グローバル人材育成基金」を用意して制度を展開しました。文部科学省の同じような目的の制度の1年間の予算が当時10億円だったことを考えれば、一つの県としては破格の制度設計だったと言えます。その後、文部科学省は埼玉県の思い切りの良さに驚いて年々予算を増やしています。今では当時の11倍近くになっていると聞いております。
こうした本県の姿勢に多くの企業や団体が賛同され、協力をしていただいています。(公財)遠山記念館からは多額の寄付をいただいておりますし、(株)埼玉りそな銀行、(株)武蔵野銀行、埼玉縣信用金庫にも、本県が立ち上げた「グローバル人材育成センター埼玉」の賛助会員として御協力をいただいたり、低金利の留学ローンを設定するなどの御支援をいただいています。さらに、(株)エフエムナックファイブ(NACK5)は高校生海外スポーツ研修制度をつくり、毎年8名の高校生を海外に派遣しています。最近では、本県の動きに触発されて、他の自治体でもこうした動きが活発化していると聞いています。
「日本資本主義の父」と言われる渋沢栄一(しぶさわ えいいち)翁や、我が国最初の林学博士で明治神宮の森や日比谷公園を設計した本多静六(ほんだ せいろく)博士もまさしく海外留学組です。こうしたことを考えれば、若い時に大きな視野を持つために海外で様々なことを学ぶことが極めて大事ではないかと思います。また、奨学生の皆さんには、埼玉親善大使として本県のすばらしさや本県の良いところを留学先でPRしていただくことにもなっています。
そしてまた、埼玉県はただ送り出すだけではありません。経済界や県内大学などとともに「グローバル人材育成センター埼玉」をつくり、帰国した奨学生を対象にグローバルな経営を展開している県内企業への就職のサポートを、あるいは海外インターンシップのあっせんなどを積極的に展開しています。グローバル社会と言われる今日、より多くの若い人たちに世界を学んでもらい、そして日本を世界に発信するパワフルな人材に育っていただきたいと思います。