内閣府が1月にまとめた『日本経済2016-2017 -好循環の拡大に向けた展望-』に、とても有益な資料がありました。人口構造の変化が経済に与えた影響のうち、個人消費に関するものです。年齢別の消費支出総額は50歳から59歳までの50代がピークで、高齢になるに従い徐々に低下していきます。

この資料は、その人口の多さと高い消費意欲から経済に大きな影響を与えてきた団塊の世代が70歳代に入ることと、1970年代以降の若い世代の消費の低さが経済に与える影響について分かりやすくグラフで示しています。

1970年代生まれの人たちは、大学生の頃にバブル崩壊を経験しました。それ以降に生まれた人たちも、青年期までの期間に先の見えない時代を過ごしたため、消費が抑制的であると思われます。
これに対して、1946年から50年に生まれた団塊世代の就職は、ほぼ終身雇用で毎年給料が上がるという時代でした。そのため、若い時から消費意欲が高く、その消費は経済に大きな影響を与えてきました。

その団塊の世代の皆さんも、70歳代に入り消費支出が低下していきます。団塊ジュニア世代が、2025年くらいに消費水準のピークである50代を迎えますが、元々消費が抑制的であることから、今のままでは経済に与える影響はあまり期待できません。

したがって、今後の消費拡大のカギは、人口が多く消費意欲も高い団塊の世代が70歳を超えても元気に活動できる健康長寿社会を作ることと、これから消費のピークを迎える世代の人たちが、お金を安心して消費に回すことができる、生活に不安のない社会を築くことにあります。