厚生労働省が平成28年に実施した調査によると、我が国には糖尿病患者が1,000万人おり、さらに糖尿病の可能性を否定できない、いわゆる糖尿病予備群が1,000万人いると推計されるそうです。

糖尿病は、初期の段階では自覚症状がないため、医療機関への受診が後回しになりがちです。しかし、適切な治療を受けずに放置すると、網膜症、腎症、神経障害などの深刻な合併症を引き起こす危険があります。

目の奥にある網膜の毛細血管に障害が起きる網膜症は、視力低下や眼底出血を生じさせ、最悪の場合には失明に至ることもあります。
腎機能が低下する腎症は、重症化すると人工透析が必要になります。人工透析を始めると、週3回程度、1回につき4時間から5時間を要する通院を一生涯続けなくてはなりません。
手足のしびれや痛み、立ちくらみなどを生じさせる神経障害は、放置すると手足の壊疽(えそ)を引き起こし、切断を余儀なくされる場合もあります。

埼玉県では、県医師会などの協力を得て、糖尿病が重症化するリスクが高い方に受診を促すとともに、治療中でも生活習慣の見直しが必要な方に保健指導を受けていただく取組を行っています。
保健指導を受けて食事や運動、睡眠といった生活習慣の改善に取り組んだ方の検査値は、確実に改善しています。

一方、糖尿病のリスクがあっても医療機関を受診されていない方が、なお多くいらっしゃることも事実です。受診をしないまま放置していると、後で大変なことになりかねません。

最近、「人生100年時代」ということがよく言われますが、長い人生を充実したものにするためにも、糖尿病の予防はとても重要です。
健康診断で糖尿病のリスクがあると分かった方は、是非、速やかに医療機関を受診するとともに、生活習慣の改善に取り組んでいただきたいと思います。