昨年5月、日本地質学会が47都道府県の「県の石」を選定しました。「県の石」は、各県で産出、あるいは発見された「岩石」、「鉱物」、「化石」の3つで構成され、平成26年から始めた一般公募と学会内の専門委員の協議によって選定を行ったそうです。日本地質学会が平成30年に創立125周年を迎えるに当たって、記念事業の一つとして実施されたものです。

埼玉県の「県の石」は、岩石部門が「片岩(へんがん)」、鉱物部門が「スチルプノメレン」、化石部門が「パレオパラドキシア」が選定されたそうです。

埼玉県のことならだいたいは知っている私ですが、「県の石」が選定されたことはもちろん、こういう事業があったことは知りませんでした。

まず、岩石部門の「片岩」ですが、長瀞の岩畳と言った方がイメージしやすいかもしれません。板状結晶や柱状結晶の面状配列をもち、平らにはがれやすい性質があります。小川町から長瀞町、皆野町、神川町にかけて見られるものは、三波川(さんばがわ)結晶片岩類と総称されています。

この岩石は九州東端まで約1000kmにわたって帯状に分布し、海洋堆積物が7000万年前に地下の奥深くで変化・形成したものだそうです。
古墳の石室や中世の板石塔婆(いたいしとうば)の石材にも用いられています。特に秩父地域で産出する緑色がかった片岩は、「秩父青石(ちちぶあおいし)」の名称で、庭石、石碑などに珍重されています。

(続く)