米どころ日本一の埼玉県です。そう聞くと、そんな馬鹿なという話になるかと思います。実はお米の出荷額は全国18位の埼玉県ですが、精米の出荷額は日本一なのです。

北陸、新潟、東北各県から埼玉にお米が集まってきます。ここで俗に言う籾(もみ)を取る作業が始まって、いつでも食べられるような状態になります。このいつでも食べられる精米を首都圏4千万人の人たちを始め全国に送り出しているのが埼玉県という訳です。
集める場所として一番有利なところが埼玉県です。

ついでに申し上げれば、日本人がお米を食べなくなってきてから久しいわけですが、明治20年前後の頃は日本で一番人口の多い県は新潟県でした。これも驚きだと思いますが、要はどれだけ雇用を必要とする産業があるかなのです。

当時は第一次産業の農業、なかんずく米どころ新潟で人手が必要とされていて、従って人が集まって、新潟県が第一位となったわけです。その後、ご案内のように各工業都市が生まれ、工業よりも商業サービス産業が盛んになってきましたので、商業サービス産業の拠点である東京都に人が集まっているのです。

産業の変遷とともに人口も変わってきたりします。デジタルをはじめとする新しいツールがどのようなかたちで、人口構造を変えるかまだ見えていません。少なくとも、一極集中の東京都が、昨年初めて人口減少に転じたことも、単にコロナの影響だけとは言えないかもしれません。

地方にもデジタル時代はチャンスがあるのかもしれません。地方創生とデジタル、一見、関係のないようなところから社会が動き出す可能性もあります。

参議院議員 上田清司