昨日に引き続き、「風邪とインフルエンザ」についてです。

私たちの体には、「免疫」という機能が備わっています。免疫は、体内に侵入した細菌やウイルスなどを異物として攻撃し、体を正常に保つ大切な働きがあります。
実は、くしゃみや咳、鼻水などの風邪の諸症状は、全て免疫による反応です。咳は喉に入ったウイルスや菌を排出するため、鼻水は鼻腔(びくう)内のウイルスや菌を流すため、下痢や嘔吐(おうと)は胃や腸からウイルスを追い出すための免疫反応だそうです。
この免疫のおかげで、一度感染したウイルスへの抗体が作られるため、同じウイルスが侵入しても感染しないか、感染しても軽症で済むのだそうです。風邪をひいたときはつい薬に頼ってしまいがちですが、その症状はもともと体に備わった免疫の機能として、ウイルスから体を守ってくれているということです。

しかし、インフルエンザウイルスは、非常に変異しやすいというやっかいな性質があります。このため、以前作られた抗体が合わず、容易に細胞に侵入して増殖を繰り返してしまうのだそうです。
インフルエンザウイルスは、毎年のように変異を続けていますが、数十年に一度、突然変異によって「新型インフルエンザ」が発生し、世界的な大流行を引き起こすことがあります。1918年には「スペイン風邪」と呼ばれたインフルエンザが世界的に大流行し、当時の世界人口の3割に当たる約6億人が感染し、4,000万人もの人が死亡しました。このとき、日本でも約38万人が死亡したと言われています。
最近では、2009年に「新型インフルエンザ」が世界中で流行し、日本でも多くの患者が発生して大きな話題になりました。
毎年流行する「季節型インフルエンザ」の予防法としては、ワクチンの予防接種がありますが、変異を続けるインフルエンザを100%予防する特効薬は存在しないと言われています。
健康な人は感染しても1週間程度で回復しますが、小さなお子さんや妊娠中の方、高齢の方は重症化する可能性もありますので注意が必要です。

年が明けて、インフルエンザの流行が本格化してきました。厚生労働省の発表によると、1月15日(日曜日)までの1週間で、全国の患者数が前の週から18万人も増加し、約99万人に上ったそうです。埼玉県では1医療機関当たりの患者数は20.21人で、全国平均の15.25人を上回っています。流行のピークは例年1月下旬から2月上旬だそうですが、今年は早めに流行が広がっているようです。
風邪やインフルエンザの特徴をよく理解した上で対策を取っていただき、寒いこの冬を元気に乗り切ってください。