7月9日(月曜日)にロシア大使館を訪問し、駐日ロシア連邦特命全権大使ミハイル・ユリエビッチ・ガルージン氏にお会いしました。10月20日(土曜日)の熊谷ラグビー場のこけら落とし(キックオフ)への御出席をお願いに伺ったものです。その席で、7月8日(日曜日)の朝日新聞に掲載されていた、ロシアで開催されているFIFAワールドカップに関する次の話題を御紹介させていただきました。

静岡県にお住まいの袴田 進示(はかまだ しんじ)さん一家5人は日本対ポーランド戦を観戦するため、モスクワから約千キロメートル離れたボルゴグラードに向かおうとしていました。しかし、モスクワの空港でシステムトラブルに巻き込まれて、乗るはずだった便は飛び立ってしまいました。

同じように取り残された日本人サポーターが30人ほどおり、「明日の便に振り替えます。」と説明する航空会社のスタッフに、あちこちから「今日の試合を見に来ているんだ。」と非難の声が上がったということです。
袴田さん一家は諦めて空港のレストランで遅い朝食をとっていましたが、午後2時を回った頃、「ボルゴグラード行きの便でチェックインできなかったお客様ですか。」と声を掛けられたそうです。「今すぐチェックインを」と案内されましたが、朝の便を逃した他の日本人は、何度アナウンスしても誰も現れなかったそうです。

結果的に、案内された150席ほどの機内にいた乗客は袴田さん一家5人だけでした。1時間半あまりのフライトを終えるとタラップの下にバスが待ち構えており、何人ものスタッフに空港内を誘導され、タクシーを飛ばして試合会場であるスタジアム前に乗り付けたそうです。スタジアム内の階段を上がって大型ビジョンを見上げると、試合は後半40分。

スタンドから大きなブーイングが起こる中、負けている日本がなぜか、ゆっくりとパス回しをしていた場面です。訳が分からないまま、試合終了を告げる長い笛が鳴りました。

袴田さんの奥様が「ロシア人って優しいね。思い出すと涙が出そう。」と言うと、家族みんながうなずいた、という記事でした。この美しい話をガルージン大使にしたところ、大使は大変喜ばれ、この記事を航空会社の皆様にも伝えるとおっしゃっていました。
トラブルはありましたが、関係者の努力に日本人一家は大変貴重な思い出を作ったようです。私もいい記事を読ませていただきました。