このところ新聞や雑誌にジャック・アタリ氏が数多く登場しています。フランスの経済学者、思想家です。

アタリ氏は、アメリカ大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏の勝利の背景には、経済成長の果実を巡る「敗者」と「勝者」、グローバリゼーションの「負け組」と「勝ち組」、「昔の方が良かったと嘆く者」と「将来はもっと良くなると考える者」との対立があると分析しています。いずれも、多数派は前者ですから、そこに重点を置いて大統領選挙を戦ったトランプ氏が勝利するということになるそうです。

アタリ氏は、選挙の前からトランプ氏の勝利を言い当てていたそうです。名前も「アタリ(当たり)」ですから、文字通り当たったのでしょう。

また、イギリスのEU離脱についても、アタリ氏は、「地方」と「都市」、「グローバリゼーションの犠牲者」と「資本からの利益を得る者」との対立を指摘し、外国人から己の身を守り、輸入をストップして外国人労働者を締め出せば、安心して暮らせるという錯覚から生まれたものだという分析をしています。正に、この分析も「アタリ」なのかなと思います。

しからば、どうすればよいのかということに関しては、必ずしもアタリ氏は言っておりませんが、当然、新しい理念が必要です。その新しい理念を、今、世界中で模索している状況と言えるのかもしれません。