週刊東洋経済の2016年12月31日・2017年1月7日合併号に興味深いコラムが掲載されていました。

「偉い人ほど腰が低い」というのは、日本に古くから伝わる俗諺(ぞくげん)です。学問や徳行(とっこう)が深まるにつれて、その人は謙虚になるという意味で使われているところです。
これに相当する俗諺で一番よく知られているのが「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」であると思います。

ところが、この俗諺に関して作家の童門冬二(どうもん ふゆじ)氏が確認したところ、正しくは「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ではなく、「実乗(みの)る稲田は頭垂る」であることが分かったそうです。童門氏も勘違いしていたと書いておられました。私も勘違いしておりました。
「実乗る稲田は頭垂る」の主体は「稲田」つまり集団であり、場合によっては組織です。一方、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の主体は1本の「稲穂」であり、個人であります。
個人だけが徳行を積んで腰が低くなるのではなく、組織としてそうあるべきだということが本筋であると分かりました。

私たち県庁でも、特に許認可権限を持つ組織では、申請や届出などに来られる方々が低姿勢になりがちなので、逆に県職員の態度が高姿勢になっているということも場合によってはあるのかもしれません。
正に、組織として「実乗る稲田は頭垂る」の精神を皆で共有しなければならないと思いました。