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世界的ベストセラー「銃・病原菌・鉄」について御紹介したいと思います。この書は1万3千年の人類史・文明史をひもときながら、民族の盛衰を左右した要因とは何かを探っており、知的好奇心を大いにくすぐられます。著者は、カリフォルニア大学教授で進化生物学者、生理学者、生物地理学者であるジャレド・ダイアモンド氏です。この中でダイアモンド氏は、「必要は発明の母」という言葉があるが、実際の発明の多くは実は人間の好奇心の産物であり、何か特定のものを作り出そうとして生み出されたわけではないと指摘しています。発明をどのように応用するかは、発明がなされた後に考え出される場合が多く、当初の目的とは全く別の用途で使用されることも少なくないとの話です。つまり、多くの場合「必要は発明の母」というより、むしろ「発明は必要の母」であるとのことです。

例えば、1877年に蓄音機を完成させたエジソンは、蓄音機には10通りの使い道があると公表しました。そのリストには、遺書の録音や、視覚障害者のために本を朗読する際の録音などが含まれていましたが、音楽の録音再生にはあまり重きが置かれていなかったそうです。蓄音機をジュークボックスに作り変えたものが登場し販売されると、自分の発明の品位を汚すものだと反対したそうです。エジソンが、蓄音機の主要な用途が音楽の録音再生にあることをしぶしぶ認めたのは、発明から20年たってからだったとのことです。

「発明は必要の母」ならば、発明した技術を産業化につなげるには、多くの人がアイデア出しに参加した方が可能性は広がります。

自社技術だけでなく他社や大学などが持つ技術やアイデアを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや革新的な研究成果、製品開発につなげる方法論を「オープン・イノベーション」と言います。この方法が日本は欧米に比べて遅れていると言われています。

電子書籍や3Dプリンタなどのように、これまで日本人が世界に先駆けて開発したものの、事業化できずにグローバル競争の主導権を海外企業に奪われたケースは少なくありません。

埼玉県は、産業技術総合研究所と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)という国内トップクラスの研究機関と協定を締結しました。こうした研究機関と共同でオープン・イノベーションによる成長を促進することにより、先端産業の育成と集積を図っています。例えば、日本で発見されたカーボンナノチューブは、鋼(はがね)の20倍の強度を持ちながら、重さはアルミの半分という夢の新素材です。こうした研究成果の実用化段階で多くの県内企業が参加することで、世界を変えるような新たな産業が埼玉で生まれるよう全力で取り組んでまいります。

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