去る6月24日(水曜日)、県庁の公用車として初めての燃料電池自動車である「トヨタMIRAI(ミライ)」が納車されました。納車式では、トヨタ自動車株式会社専務役員の毛利悟(もうり さとる)氏、販売会社である埼玉トヨペット株式会社社長の平沼一幸(ひらぬま かずゆき)氏、埼玉トヨタ株式会社社長の嶋田光剛(しまだ みつたけ)氏からシンボルの「ゴールドキー」の贈呈を受けました。その後、県庁の敷地内で私自ら「MIRAI」を運転して試乗させてもらいました。座り心地といい、走り心地といい、正に申し分のない乗り具合で、燃料電池自動車の素晴らしさを体感することができました。

燃料電池自動車は水素と酸素から電気を作って走る電気自動車で、排出ガスゼロ、二酸化炭素ゼロという究極のエコカーです。かつては夢の自動車とも言われていましたが、燃料電池などの日本の目覚ましい技術開発によって世界に先んじて市販されることになりました。

御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、埼玉県では2012年から全国に先駆けてソーラー水素ステーションを県庁内に設置し、燃料電池自動車「ホンダFCXクラリティ」の走行実証を行うなど、水素エネルギーの活用に先進的に取り組んできたところです。

一方、県民の皆様には水素と言えば危険というイメージがまだ強く残っているかもしれません。でも御安心ください。「MIRAI」の水素タンクは鉄の10倍の強度がある炭素繊維でできています。また、万が一水素が漏れても直ちにセンサーが検知するなど、安全を確保するための工夫が幾重にも施されています。埼玉県としては、今回納車された「MIRAI」を活用して試乗会などのイベントを展開し、燃料電池自動車の安全性と水素エネルギーの利便性を県民の皆様にアピールしていきたいと考えています。

燃料電池自動車の普及に向けての課題の一つは価格です。現在は1台がおよそ700万円強ですが、県民の皆様が購入しやすいよう国の補助金の202万円に加えて、県も1台当たり100万円の補助金を100台分用意しています。おそらく、そう遠くない未来にお手頃な値段になり、この「MIRAI」が更に普及し県内を駆け巡る日が来るでしょう。

普及に向けてもう一つ大切なのは水素ステーションの整備です。現在、県内の4か所でオープンしていますが、5年後の2020年までに県内どこからでも15分以内で水素ステーションに到着できるよう、民間の皆様の協力を得て整備を進めていかなければならないと考えています。

水素エネルギーの活用可能性は自動車だけではありません。オフィスビルや工場などでの活用も期待されており、水素を供給するパイプライン網の形成によって、更に水素関連産業が広がるという大きな夢につながります。県としても、こうした次世代自動車の普及や水素関連産業の裾野が大きく広がっていくようにしっかりと支えていく必要があります。

ちなみに、これまであった県庁のソーラーステーションに替えて、近々「MIRAI」対応の新ステーションの工事が始まります。また、県庁に納車されたブルーカラーの「MIRAI」のボディには「水素で走ってます!」という文字がしっかりと書いてあります。見かけることがありましたら、是非応援していただければと思います。