7月16日(土曜日)から始まった「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016」が24日(日曜日)で終了しました。今年は過去最多となる88の国と地域から919もの作品が集まりました。その中から厳選されたノミネート作品が長編部門、短編部門、アニメーション部門でそれぞれ12本ずつ上映され、この12本の中からそれぞれの賞が選ばれたところです。長編部門ではメキシコのアレハンドロ・グスマン・アルバレス監督の「朝日が昇るまで」が最優秀作品賞になりました。

審査委員長の岡田裕(おかだ ゆたか)さんの講評によれば、主人公が人生の希望を見出すために夜から朝日が昇るまでを野外で過ごすラストシーンがあるわけですが、そのラストシーンで、タイトルが「朝日が昇るまで」にも関わらず朝日が昇る姿を映画のシーンに映さず、シルエットだけを映すという手法が印象的だったと言われました。要するに、朝日は希望の象徴ですが、その希望を抑制的に撮っている点が作品の価値を大きく上げたとのことです。

確かに、希望が簡単に実現するようであればこんなに楽な話はありません。希望というのは簡単には実現しない。ゆえに、かすかなシルエットの朝日から、本当の朝日が昇ってくるまでにはまだそれ以上の努力が必要ということを暗示しているようです。

私も揮毫(きごう)を頼まれたときにはいつも「希望」の二文字を書くことにしています。まさしく、私自身、世の中というのは希望に満ちあふれたものになるべきだし、私たちの努力次第でそれは可能である、そういう思いを持っています。希望がある以上は諦めずに何事も前向きに進むべきだと、そういう思いから、揮毫の題材にしているところです。人生の希望を抑制的に描いた作品が今回の最優秀作品賞であったことに、なんとなく共感を覚えました。

安易に希望は実現できない、しかし、努力の先には、シルエットというかすかで控えめな形ではあっても、希望の象徴である朝日は必ず昇ってくる。そこにこそ、まさしく希望があるような気がいたします。