埼玉高速鉄道は開業以来、赤字でありましたが、先週公表された平成27年度の決算において、初めて約15億円の経常黒字を出しました。
平成13年3月に埼玉高速鉄道は606億円の資本金と1,532億円の有利子負債という通常では考えられないような状況でスタートしました。累積損失も私が知事に就任した平成15年の段階で275億円になっておりました。
民間から社長をスカウトして、3年で補助金ありでの償却前黒字を達成し、6年で補助金なしでの償却前黒字を達成しましたが、最終損益は金利負担などが大きいこともあり、黒字にはなりませんでした。
当初1,532億円あった有利子負債を、開業12年後の平成25年度には1,162億円まで縮小したものの、リーマンショックや東日本大震災の影響もあり、輸送人員が計画に比べて伸び悩んでいました。
こうしたことから埼玉高速鉄道の経営努力だけでは黒字化の実現は難しいという判断をし、平成27年1月に私的整理手法の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決)を成立させ、経営の抜本的な再構築を行いました。
事業再生ADRとは、国の認定を受けた第三者が仲介役となり、債権者と債務者が裁判所を通さずに話し合いで問題解決を図ることです。事業を継続しながら手続きが進められるほか、法的整理に準じた税法上の優遇が受けられるなどのメリットがあります。
これによって有利子負債を半分程度に圧縮させ、毎年の金利負担が大幅に減少しました。また、現有の資産評価を再評価したことにより、減価償却費も半分程度になりました。
また、現執行体制の経営改革に加え、沿線開発の進展や、浦和美園駅を最寄り駅とする埼玉スタジアム2○○2が大規模なサッカー大会の会場になったことによって、輸送人員も押し上げられました。こうしたことが重なり、埼玉高速鉄道発足以来、初めて最終損益が黒字に転換しました。
今後こうした基調をしっかりと続け、財政支援に頼らない自立経営にしていくつもりです。