昨日は、新しい経済格差についての話をさせて頂きました。今日は埼玉県の状況はどうだということを申し上げなければなりません。そこで、埼玉県における経済格差の実態について、幾つかのデータから見てみましょう。

まず、平成24年10月における非正規労働者の割合は39.6%で、全国平均の38.2%を上回っています。10年前の平成14年は33.3%でしたので、10年で6.3ポイント上昇しています。ただし、同じ非正規と言っても本人があえてそのような働き方を選んでいる場合もあります。特に、埼玉県はスーパーなどが多く短時間だけパートで働きたいという人も大勢います。この点は注意して数字を見る必要があります。
次に、子供の貧困について見ると、学用品費等で就学援助制度(経済的理由で就学困難な児童生徒のための支援制度)を利用している子供の割合は平成25年度で13.1%。こちらは全国平均の15.4%を下回っていますが、およそ8人に1人が援助を受けているという現状があります。

こうした格差の問題に対して、埼玉県では様々な施策を講じています。
今年の2月8日(月曜日)には、国と県、そして労働団体、経済団体の代表者が、雇用や労働の課題について一つのテーブルで話し合う「埼玉県公労使会議」を立ち上げました。今後、非正規雇用の問題についても大いに議論を深めていきたいと考えています。
子供の貧困については、「貧困の連鎖」を食い止める埼玉県の取組が国を動かし、全国展開に向けて法改正が行われました。生活保護世帯の子供たちが大人になったときに貧困に陥らないように、学習支援を丁寧に行い、高校進学をサポートする取組です。サポートを受けた中学生の高校進学率は86.9%から97.7%へと、県内平均とほぼ同程度まで上昇しました。

かつては「一億総中流」と言われた時代もありました。しかし、最近はGDPが増えない中で限られたパイを、政府で言えば社会保障費や国債費などの義務的な経費に充てざるを得ず、企業で言えば今いる正社員の生活を守ることを優先せざるを得ないという状況が長く続きました。その結果として、中間層や既得権を持たない若者に社会のしわ寄せがいっていることが、格差が広がる大きな背景としてあると思います。

明日は埼玉県全体の経済、あるいは雇用について触れてみたいと思います。