2月17日(水曜日)に「とことん訪問」で深谷市の花園中学校を訪問しました。この中学校では「立志式」という行事が行われておりました。この日は、2年生の一人一人が全校生徒の前に立って、将来、自分がどんな職業に就きたいかとか自分の夢は何かということを発表していました。1年生と3年生の代表からはそれぞれお祝いの言葉と激励の言葉が送られていました。全校生徒が一丸となって自分の夢や志を語り、共に刺激し合おうという取組です。

 花園中学校は郷土の偉人である渋沢栄一翁の「立志の精神」と「忠恕(ちゅうじょ)の心」を基盤に置いた「立志式」を中心に、キャリア教育の充実に積極的に取り組んでいます。これは生徒一人一人に、生涯にわたって果たそうとしている役割や、様々な立場などを自分が働くことと関係付けて捉えていくことの重要性を学ばせる取組と言えます。

 さらに、花園中学校では「時(じ)・場(ば)・礼(れい)」というスローガンを掲げ、日常生活で意識して実践しています。「時」を守るということでは、授業が始まる前に授業の準備をするとか、チャイム着席を実践しています。「場」を清めるということでは、15分間の無言のひざつき清掃に取り組み、自分の心も磨いています。そして、「礼」を正すということでは、その場に合った言葉づかいや行動を心がけるようにしています。生徒会や部活動などの際に大きな声で元気な挨拶を心がける「あいさつ日本一」運動も展開しています。確かに、靴置場の中の靴や自転車置き場の自転車もきれいに並べられていました。日常の取組の成果がこうしたところにも表れていると納得をしたところです。

 先生方も「熱意ある指導体制」を目標に掲げ、日々の授業を基本に、全員の生徒が分かる喜びを味わうことができるように工夫を重ねた熱意ある指導に取り組んでいるそうです。例えば、3年生を対象に朝7時30分からの学習会が実施されているほか、退職された教員の方々が総合支援員として個別指導や夏季・冬季休業中の補習授業などを行っているとも伺いました。

 こうした取組の結果、生徒の日常生活以外でも相応の成果が出ているようです。例えば、学力調査などでは「立志式」開始以前と比べて結果が大きく伸びたり、あるいはまた不登校の生徒数が大幅に減ったりしています。また、運動部の活動でも多くのクラブが県大会や各種の大会で上位を確保しています。特に女子のソフトボール部と卓球部は県大会で連続優勝という実績を上げています。自分の夢と志を高らかに掲げ、そのための日々の努力目標や規律を自らに課し、教師がしっかりサポートするという、「立志式」に代表される花園中学校の取組は大きな成果を出しているように思われます。

 この「立志式」には保護者も参加されており、自分たちの子供が壇上で全校生徒の前でしっかりと自分の志や夢を語る姿を見て成長を実感されたのではないかと思います。このような試みが県内の全ての中学校で展開されれば、すばらしい埼玉県の教育になるのではないかと思っています。