私は県内の様々な状況を数値や統計で見ています。
先頃、平成27年中の交通事故死者数が発表されました。本県は177人で全国ワースト5位という結果でした。交通事故で亡くなった方の総数では全国の都道府県の中で5番目に多かったということです。
一方、人口10万人当たりで何人の方が交通事故で亡くなっているかということで見ると、埼玉県は2.4人と全国で4番目に少ないことになります。
実は、人口10万人当たりの死者数が多い県は、佐賀県、福井県、鳥取県といった人口の少ない県であり、こうした傾向はここしばらく変わりません。交通事故死者数が多い都道府県の多くは人口500万人以上を抱えた大きなところです。人口の多い都道府県で死者数が多いというのはある意味では自然であります。
交通事故死者数を総数で扱うか人口当たりで扱うかによって、本県はワースト5とベスト4という一見すると相反するような二つの数字を持っています。このように数字や統計は見方を変えると全く違った意味を示します。
同じように、本県でよく言われるのは、医師の数が人口10万人当たりでは47位で全国一少ないということです。一方、医師の総数は全国で9番目に多いということも事実であります。さらに、医療の必要性がより高いと考えられる75歳以上の県民1万人当たりの医師数で見ると、本県は全国31位となっています。
県民の皆さんには数値や統計の持つ意味をきちんと説明するとともに、それらを固定的に捉えるのではなく、多面的にお示しすることが必要ではないかと考えています。