株式会社三菱総合研究所(MRI)が発行している「MRIマンスリーレビュー」10月号に面白い記事がありました。専業主婦世帯が減少を続けていることを御存知の方は多いと思いますが、その数が2015年には2010年よりも110万世帯減少して687万世帯となった一方で、共働き世帯は102万世帯増加して1,114万世帯となったというものです。同研究所の推計ではこのうち770万世帯が子育てをしながら働くワーキングマザーで、ついにその数が専業主婦を上回ったそうです。
ワーキングマザーの幸福度が向上していることも、この調査で明らかになりました。世帯数だけではなく、両者の幸福度も逆転しました。正規社員として働いているワーキングマザーの「とても幸せである」「幸せである」と感じる割合の合計は、2015年には67パーセントと2011年に比べ4ポイント増えているそうです。この間に専業主婦の幸福度が5ポイント減って64パーセントになったのとは対照的です。
ワーキングマザーの幸福度向上の理由としては、第一に暮らし向きの向上感が挙げられるそうです。「去年と比べて暮らし向きが向上している」とする割合が14パーセンと、2011年から6ポイント増えています。もう一つの理由として、ワークライフバランスの進展があると分析されています。ワーキングマザーの生きがい上位3項目は「家庭」「余暇」「仕事」です。これらの満足度(「満足」「どちらかといえば満足」の合計)の変化をみると「家族のコミュニケーション」が1ポイント増、「余暇・趣味、レジャーの過ごし方」が3ポイント増、「仕事」が増減ゼロでした。
「急な仕事が入れば残業する」「有給休暇はきちんと取得する」(「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)についても前者は8ポイント減、後者は7ポイント増ということで、ワーキングマザーが働き方を見直すことで仕事の質を維持しつつも生活の質を高めようとしていることがこの調査で分かります。ワークライフバランスを重視する職場が増えていることも背景にあるのかもしれません。
ワーキングマザーは専業主婦に比べて経済的ゆとりがあり、今後「生活を楽しむ」消費のけん引役として浮上すると、この記事はまとめています。いわゆるダブルインカムの時代ということでしょうか。経済を元気にする上で、ワーキングマザーの存在は問題解決の一手になるのかもしれません。
MRIマンスリーレビュー