「マシュマロ・テスト」という実験を御存じでしょうか。これは、1960年代の後半から1970年代前半にかけて、スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが行ったもので、幼少期の自制心と将来の社会的成果の関連性を調査した有名な実験だそうです。
被験者となったのは大学内の付属幼稚園に通う4歳の子供186人。子供たちは一人ずつ、机と椅子だけが置かれた部屋に通され、椅子に座らされる。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っている。実験者は「そのマシュマロは君にあげる。すぐ食べてもいいけど、15分待つことができたならマシュマロをもう一つあげる。待たずに食べちゃったら、二つ目はなしだよ」と告げて部屋を出ていくそうです。どの子も二つを手に入れるために待つことを目標にする。しかし30秒も待てずに手を出してしまう子もいれば、じっと見つめているうちにこらえきれなくなってくる子もいます。最後まで我慢して二つ目のマシュマロを手に入れた子は、全体の3分の1だったそうです。被験者が4歳の子供であることを思えば、それぐらいの結果かなと感じるのではないでしょうか。
しかし、この実験はここで終わりではありません。その後十数年にわたって追跡調査が行われたそうです。すると1分以内にマシュマロを食べてしまった子供は、その後の学校生活でも様々な問題行動が見られることが多かったそうです。逆に15分間待つことができた子は、30秒しか待てなかった子に比べ大学進学適性試験のスコアが圧倒的に高かったそうです。
15分後に二つ目を手に入れるため、目の前の一つをしばらく我慢できるかどうか。たったこれだけのテストで明らかにされた個人差が、その後の人生にかなり大きく影響を与えるようです。そしてその他の研究と合わせて明らかにされたのは、人生の成功に必要なのは「頭の良さ」ではなく「自分を律する力」だということだそうです。これからは、慌てて目の前の「まんじゅう」を食べてはいけませんね。自分を律しましょう。