現在開かれている12月定例県議会でも、平成27年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)において、本県の小・中学生の全国順位が下がったことに関する質問が多くありました。これまでも中位より若干低い順位であったわけですが、今回の調査では、小学6年生と中学3年生の全国順位は、それぞれ42位と36位となりました。私自身大変残念なことだと受け止めていますし、県教育委員会も大変ショックだったようです。
もとより小・中学校は一義的には市町村教育委員会が子供たちの教育を受け持っているわけです。しかしながら、県教育委員会も校長などの任命権を持ち、教育内容、学校運営に関する助言などの役割を担っていますので、今回の結果を真剣に受け止める必要があります。是非、挽(ばん)回していただきたいと思っています。

ところで、私は知事に就任して間もない頃、当時の県教育長と相談して、小・中学生を対象に「教育に関する3つの達成目標」という取組を始めました。これは「学力」、「規律ある態度」、「体力」という3つの分野について、各学年でこれだけは達成しておいてほしい基本的な内容を示し、毎年その達成状況をチェックしていくというものです。平成16年に小・中学校それぞれ5校ずつのモデル校から始め、平成17年から全面的に展開しました。基本中の基本を身に付けるということが主眼で、その点では一定の成果があったと考えていますが、応用などの面で更なる努力が必要かもしれません。

「体力」の方は全国的にも上位を維持しています。平成27年度の全国体力調査における本県の全国順位は、小学5年生の男子が7位、女子が5位、中学2年生の男子が7位、女子が3位という結果を残しております。
また、生活習慣や学習環境、規範意識の調査も全国学力テストの中で行われています。ある民間シンクタンクが「いい子どもが育つ都道府県ランキング」として3年に1回その分析をしています。こちらについても16位、7位、4位という形で、3年おきの調査ながらもしっかり順位が上がってきております。大都市圏にある都府県が軒並み最下位や下位グループに低迷している中で、埼玉県は奇跡的に4位という結果を残しております。3つの達成目標の一つとして「規律ある態度」を掲げてきた先駆的な取組があるいは功を奏しているのかなと思ったりしているところです。

いずれにしても、こうした全国との比較でみると学力、体力、規範意識という子供の成長にとって極めて重要なことについて埼玉県の教育はまだまだ向上すべきことがあるということが分かります。