総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家総数は820万戸、空き家率は13.5%と過去最高になったそうです。ところが、「週刊東洋経済2015年8月29日号」を読んでいると全く違う数字が出てまいりました。
「住宅・土地統計調査」の構成項目を見ると、私たちが空き家率という言葉から受けるイメージとは異なった実態が浮かんできます。まず、「空き家」の5割超が賃貸用の住宅であることが分かります。賃貸用住宅の多くは、いま社会問題となっている老朽、腐朽化して借り手が見つかりそうもない住宅ではありません。むしろスムーズな転居を可能にするためには一定数の空き物件は必要になります。
また、古くなった賃貸住宅は順次建て替えなどをしているわけでありますが、建て替え中の住宅は、再び入居することを予定しているわけですから、その部分に関しても「空き家」という概念に当たるのかどうか疑問です。ところが、これも総務省の定義では「空き家」に区分されているようです。また別荘も全体に占める割合は5%と小さいですが、普段は人が住んでいない住居ということで「空き家」としてカウントされているそうです。どうも不思議だなと思います。別荘を持っている人たちは、それを「空き家」とは思ってはいないでしょう。
さらに、建築中の住宅ですが、内装が完了していなくても窓や戸が付けられ、戸締まりができる程度まで完成していれば住宅としてカウントされ、しかも人が住んでいないということで「空き家」に区分されるそうです。これでは景気がよくなり、マンションや戸建ての建設が増えれば、「空き家」も増えるということになります。これらは「空き家」というよりは入居待ちの住居と言った方がいい感じで、中には完成前から売れている物件もあります。こうした賃貸用や売却用、別荘などの物件を除くと空き家率は5.3%になるそうです。なんと13.5%から5.3%ですから、8ポイントも減少してしまうということです。
いろいろ考え方はあると思いますが、実態から考えると、どうも総務省の定義の方が今の時代に求められている「空き家」の概念に合っていない気がいたします。この点について私たちもショックでありますので、よく調べてみたいと思います。